おなじ景色が見れたらな

いろんな感想ごちゃ混ぜ

2023.11「青野くんに触りたいから死にたい11巻」読んだよ

 

 

読んだ。読んでます。なんなら1巻から読み直していた。椎名うみ先生の世界にどっぷり浸かるために。そしたら、もうめちゃめちゃに具合悪い。浸りすぎて脳がグチャグチャして、この世の中はなんて救いがなくて苦しい場所なんだろうと頭が割れそう。苦しい、苦しい。つらい………。

久しぶりに浴びたらすごく脳がかき混ぜられたみたいな気持ちになる。

だけど、それはひどくて辛い描写があるからではなくて(ひどくてつらい描写はあるんだけれど……😢)愛しても頑張ってもままならないことがあって、その無情さや報われなさに打ちのめされる気分。そして、わたしは椎名うみ先生の描く人間が見たくて読んでるからもうすごく満足してる。ので、これは望んで得ている苦しさなんだけど、苦しいものは苦しいので苦しいと言います。でも文句なんかでは全くない。わたしは「青野くんに触りたいから死にたい」が好きです。

 

 

いろいろ言いたいことがありすぎるけれど、まずは青野瞳は醜悪な母親であるということ。

子どもは親を見て育つ。自分に足りない部分を親を真似して、成長していく。だから、青野瞳のたった1人にしか特別な愛情を注がない、差別的な愛し方でしか息子たちへ接しないのは子どもの手本としては最悪だ。歪んだ愛し方は周りに伝染していく。

龍平も鉄平も互いにどちらが母親に愛されているか、気に入られているかを基準に喜んだり悲しむことへの歪さを疑わない。たった1人、どちらかしか選ばれないことへ疑問を持たない。疑問を持てば母から自分への愛を疑うことになるから……。そして、それが自分の機嫌によってコロコロと態度を変えるのも本当に最悪。子どもに自分の機嫌をとらせようとして、従わなければ力で権限で押さえつけ、それでも拒否するならば無関心を貫く。子どもが(それも10歳にも満たない)親の手を離れて生きていけるわけがないので、親の心が離れそうになれば嫌でも機嫌をとろうとするでしょう、犬みたいに。だけど、そんなことをさせていい訳がない。親から子供への愛を与えることが褒賞制であるなんて不健全すぎる。親は子どもの神様じゃないよ。

 

10巻から読んでいてずっと思っていたけれど、青野瞳は母親になるべきではなかった。責任感が足らず、自制心がなく、自分以外で精いっぱいでとても子どもを2人も育てられるような環境も力量もない。こんなの育てられる龍平も鉄平も可哀想。と外野ながらに思ってしまうけれど、本人がいちばん感じているんだろうな。自分は親になるべきなんかじゃなかったって。ずっと少女の、子どものままでいたかったって。

未熟な人間が親になるべきではない、と言うだけならば簡単だけれど親も結局はひとりの人間であり、傷ついたり間違えたりするものだから青野瞳も本来であれば青野父と一緒であれば向いていないながらでも今よりも奮闘しつつ子育てできていたのかもしれない。もうない話だけど。

 

青野瞳はどちらかと言うと苦手なことが多く、不器用で周り(特に同性)から見たら気が弱くて、鈍臭く侮られたり、苛々されたり、叱られたりと"弱いことは罪深いことだ"とこれまでの人生で骨の髄まで感じてきたんだろうと思う。だから、子どもたちの弱さ(我儘を言ったり、泣いたり、言うことを聞かなかったり)を許すことも受け入れることもできない。自分がされてこなかったことは人にできない。そして、弱いままでも生き抜く術として"か弱く守りたくなる存在"としてパフォーマンスを身につけざるを得なくて、10巻での営業との不倫だとかに繋がっていったと思っていて、あくまでそれは本人が望まない形で男性側が勝手に……だと感じていたから被害者だと思ってたんですが……。鉄平にDVした後、お隣さんに家庭の問題を疑われたときの表情を見て、分からなくなってしまった。お隣さんの視点で描かれる青野瞳はひどく劣情的で、頼りなく、こちらの気を惹こうとしているように見えて、これがよくあるセクハラや性加害をする男性視点での"向こうが誘ってきた"というやつなのかと理解できてしまって、それがとても嫌だった。(許されるべきではない行為に仕方ないと思ってしまいそうな自分が)

そして、彼女も自分の弱さに付け込んでくる男性たちに嫌悪しながらも、楽な方へと流れる心の弱さや精神的に誰かに認められたい、求められたいという欲求ゆえに抗えないし、抗わないし、それに縋って生きてきたんだろうなと分かって、どうしようもない気分。

 

11巻で初めて青野くんの父親を見たけれど青野くんにそっくりでびっくりした。そして2人が愛し合っていて、幸せそうでとても普通のどこにでもいるカップルで驚いた。こんなにも愛に包まれていて、きっと子どもたちも望んで生まれてきただろうに、ひとつのボタンの掛け違え(ここで言うと青野くんの父の死)でこんなにも歯車が狂って不安定になってしまうのかと怖くなった。

青野くんで出てくる家庭での苦しみは一歩間違えれば(間違えるは適当ではないかも。気づかないだけで)どこの家庭でも起こりうる話なんだと思い知らされる。鋭いナイフみたいに切り込んでくる。

 

水族館に鉄平を置いてくる話もずっと出ていた話だけれど、想像以上に苛烈で壮絶で苦しい。青野くんの心音がバクバクと跳ね上がるところでこちらも死ぬほど胸を痛めてしまった。そりゃそうだよ、まともな神経でちゃんと愛して情のある弟を捨てようとして平気な訳がないよ〜………😭青野瞳ももう少し壊れていて、もっと奔放であればよかったのに"子どもを捨てたらヤバい"という考えに至れてしまうのがほんとうに……。なんだろうな、子どもたちにほとんど恐喝するくらい追い詰めて、突拍子もないお願いを言い出すくせにまさか本当にやると思わなかったって、本当に……。いじめっ子の言動なんだよね。被害者を経験してる分、過剰に防衛本能が働いてて質が悪いよ。お爺ちゃんとお婆ちゃんがまともなことだけが救い。分からない、まともな家庭が出てくると逆に辛くなってしまうかも。

 

いろんな感情がぶわっと湧き上がってしまって、ゴチャゴチャ綴ってしまった。全てあくまで個人の意見です。(いろいろ好き勝手書いてすみません😢)それはそうと、やっぱり青野瞳って優里ちゃんのあるかもしれない姿なのかな?どうなんだろう。青野くんを妊娠する優里ちゃんと青野瞳はなんらかのメタファーか繋がりがあるのは間違いないと思うのだけれど……。

 

アー、というか優里ちゃん………。妊娠しちゃったよー😭!ど、どうなる?!もう最悪の展開しか思い浮かばないというか状況が考えうる限り最悪なんですが、、、😭どうなる………?!んだ!?!もう既に頭クラクラするんだけど、こんなにも苦しんででも読みたい、エネルギーを使える作品に出会えることにほんとうに感謝なので次巻も楽しみです。